ホンダEV戦略の暗転:最大2.5兆円損失で上場来初の巨額赤字へ——株価急落と今後の巻き返し策

ホンダEV戦略の暗転:最大25兆円損失で上場来初の巨額赤字へ——株価急落と今後の巻き返し策

本田技研工業(ホンダ、7267)は、2026年3月12日に衝撃的な業績修正を発表しました。2026年3月期の連結最終損益が最大6900億円の赤字に転落する見通しで、これは上場以来初めての通期赤字となります。主因は電気自動車(EV)戦略の見直しに伴う巨額損失で、今期と来期以降を合わせて最大2兆5000億円規模の損失が発生する可能性が明らかになりました。このニュースは投資家に大きな衝撃を与え、発表当日、ホンダ株価は急落し、市場の注目を集めています。

ホンダEV戦略の暗転:最大25兆円損失で上場来初の巨額赤字へ——株価急落と今後の巻き返し策
ホンダEV戦略の暗転:最大25兆円損失で上場来初の巨額赤字へ——株価急落と今後の巻き返し策

EV市場の急激な変化が引き起こした危機

ホンダは長年、電動化を最優先戦略に掲げてきました。2040年までに新車販売の100%をEVおよび燃料電池車(FCV)にするという野心的な目標を公表し、北米や中国市場でのEV展開を加速させていました。しかし、2025年以降の市場環境は想定を大きく上回るスピードで悪化しました。

特に北米では、EV需要の鈍化が顕著です。米政府のEV補助金政策変更や金利高による購入意欲の低下、競合他社の価格競争激化が重なり、ホンダのEV販売が低迷。代表的なモデルである「Prologue」の販売が急減したほか、中国市場でもBYDなどの地場メーカーの台頭によりシェアを失いました。

この結果、ホンダは北米向けに計画していたEV3車種——「0 SUV」「0 Saloon」「Acura RSX」の開発を中止せざるを得なくなりました。これに伴い、開発資産の減損損失や設備投資の一過性費用が膨張。今期だけで最大1兆1200億円の営業費用が発生し、営業損益予想は従来の5500億円黒字から2700億円〜5700億円の赤字に大幅下方修正されました。

最終損益は4200億円〜6900億円の赤字(前期は8358億円の黒字)と、上場来初の赤字転落。三部敏宏社長はオンライン記者会見で、「事業環境は想定をはるかに上回るスピードで変化した。現実を正面から受け止める」と苦渋の決断を説明しました。2040年100%電動化目標についても、「現実的に困難」と認め、見直しを表明しています。

株価への影響:1,448.5円で大幅下落

業績修正発表直後、ホンダ株価(7267)は急落しました。3月12日終値は1,448.5円、前日比-18.0円(-1.23%)と下落。出来高は1933万株を超え、投資家の失望売りが集中しました。

ホンダ株は2025年9月頃に1,730円台の高値を付けた後、EV関連の懸念から軟調に推移していました。今回の下方修正で、短期的な株価回復は難しく、市場では目標株価引き下げの動きも見られます。一方で、配当利回りは約4.8%と高水準を維持しており、長期投資家からは底値買いを狙う声も上がっています。

ホンダの株価変動要因として、為替(円安メリットの縮小)、関税影響(米国輸入関税による約3100億円のマイナス)、二輪事業の好調さが挙げられますが、今回はEV関連損失が最大の重しとなっています。

四輪事業の深刻な赤字構造

ホンダの四輪事業は、2026年3月期第3四半期累計で営業損失1664億円を計上。売上収益は10兆2197億円でしたが、関税影響に加え、EV関連の一過性費用2671億円が直撃しました。

これにより、四輪事業全体が赤字転落。従来の強みであったハイブリッド車(HV)販売は堅調でしたが、EVシフトの失敗が収益を圧迫しています。グローバル販売台数は256.1万台と減少傾向にあり、競争環境の厳しさを物語っています。

一方、二輪事業は過去最高の業績を更新。インド・ブラジル中心に販売が堅調で、第3四半期累計営業利益5465億円(営業利益率18.6%)を達成。グループ全体の足を引っ張る形となっています。

今後の戦略:HV強化と現実的な電動化へシフト

三部社長は「断腸の思い」でEV開発中止を決定したと語り、戦略の全面見直しを宣言しました。具体的には:

  • 北米市場でのHV開発加速
  • EVラインアップの選択と集中
  • 2030年EV販売比率目標を30%から20%へ下方修正
  • 5月に四輪事業の中長期戦略詳細を発表予定

ホンダはGMとの提携を活用したEV開発も進めていましたが、市場変化に対応するため柔軟な姿勢を強めています。役員報酬の一部返上(三部社長ら月額3割、3カ月分自主返上)も発表され、経営陣の責任を明確にしました。

投資家・読者への示唆:ホンダの強みはまだ健在

今回の巨額赤字は痛手ですが、ホンダの本質的な強み——二輪世界首位、四輪のブランド力、グローバル生産体制——は失われていません。EV市場の潮目が変わった今、HVやPHEVを軸にした現実路線への回帰が、収益回復の鍵となるでしょう。

株価は短期的に圧迫されますが、配当維持と自社株買い余力から、長期目線では魅力的な水準です。自動車業界全体が電動化の「冬の時代」を迎える中、ホンダの変革力が試される局面と言えます。

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