2026年3月現在、漫画原作者マツキタツヤ氏の動向が再び大きな注目を集めています。かつて『週刊少年ジャンプ』で連載された人気作『アクタージュ act-age』の原作者として知られていた彼ですが、2020年の強制わいせつ事件による逮捕・有罪判決を経て業界から姿を消したかに見えました。しかし、執行猶予満了後の2025年から別名義「八ツ波樹」として小学館の漫画アプリ「マンガワン」で新作『星霜の心理士』の原作を担当していた事実が、2026年3月2日に公式発表され、波紋を広げています。
この問題は、マンガ業界における性加害歴を持つクリエイターの「社会復帰」と「被害者配慮」の狭間で揺れる複雑な現実を浮き彫りにしています。本記事では、マツキタツヤ氏のこれまでの経歴、事件の詳細、復帰の経緯、そして最新の状況を徹底的に解説します。

マツキタツヤ氏のプロフィールとデビューまで
マツキタツヤ(本名:松木達哉)氏は1991年5月29日生まれ、北海道出身の漫画原作者です。34歳となった現在も執筆活動を続けています。
デビュー前は小説投稿サイトなどで創作を重ね、独特の心理描写とエンターテイメント性を兼ね備えたストーリーテリングで注目を集めました。特に、人間の内面や演技の本質を探求する作風が特徴です。
2018年、『週刊少年ジャンプ』で『アクタージュ act-age』(作画:宇佐崎しろ)が連載開始。天才女優を目指す少女と鬼才監督の出会いを軸に、芸能界のリアルを描いた本作は瞬く間に人気を博し、単行本累計発行部数も急増。アニメ化や舞台化の話も進むなど、ジャンプの新世代フラッグシップ候補と目されていました。
2020年:衝撃の逮捕と『アクタージュ』連載終了
しかし、2020年8月8日、事態は急変します。警視庁はマツキ氏を強制わいせつ容疑で逮捕。事件は同年6月18日夜、東京都中野区の路上で発生しました。自転車で女子中学生に接近し、胸を触るという行為を繰り返したとされ、防犯カメラ映像から特定されました。
当初の1件目は被害者との示談で不起訴となりましたが、約1時間後の別件で再逮捕・起訴。マツキ氏は「おおむね間違いありません」と容疑を認めました。
集英社『週刊少年ジャンプ』編集部は即座に対応。事件を重く受け止め、作画担当の宇佐崎しろ氏と協議のうえ、同年8月11日発売号をもって連載を終了。関連企画(舞台、グッズ、コミックス継続)も中止・絶版となりました。
2020年12月、東京地裁は懲役1年6ヶ月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。裁判では「非のない被害者をストレスのはけ口にした」「年少被害者の精神的衝撃は大きい」と指摘されつつ、再犯防止のための医療機関受診などを考慮し執行猶予が付きました。
この事件は「アクタージュ事件」として広く報じられ、マンガ業界全体に衝撃を与えました。作画担当の宇佐崎しろ氏は自ら声明を発表。「被害者の心のケアを願う」と被害者への配慮を強調し、ファンからも支持を集めました。
執行猶予満了後:別名義「八ツ波樹」での復帰
執行猶予が2023年末頃に満了した後、マツキ氏は表舞台から距離を置いていました。しかし、2025年8月、小学館の『マンガワン』および『裏サンデー』で『星霜の心理士』(作画:雪平薫)が連載開始。原作者は「八ツ波樹」と表記され、当初はマツキ氏との関連は公表されていませんでした。
小学館の2026年3月2日発表によると、起用経緯は以下の通りです。
- 2024年8月29日:編集者がマツキ氏の旧Xアカウントに接触。
- 8月30日:小説投稿サイトで執筆中の『勇者一行の心理カウンセラー』(『星霜の心理士』の原案)を共有。
- 9月6日:対面ヒアリング。事件への強い贖罪・反省、再発防止策(心理士面談継続)、執行猶予満了を確認。
- 心理士から「心的療養・更生が十分」との評価を受け、編集部は「社会復帰を否定すべきでない」と判断。
- マツキ氏本人が「旧名義使用は被害者の記憶を呼び起こし二次加害になる」と懸念し、別名義を希望。
- 作画担当者にも事前説明の上、起用決定。
小学館は「被害者配慮のためのペンネーム変更だった」と説明しましたが、社内の一部しか事実を知らず、広範な議論がなされていなかった点が批判されています。
2026年3月発覚:第三者委員会設置と連載停止
発覚のきっかけは、マンガワン別の漫画家(山本章一氏)の性加害問題でした。社内調査が進む中で『星霜の心理士』の原作者起用が判明。小学館は第三者委員会を設置し、編集部の起用プロセス・人権意識を検証すると発表しました。
『星霜の心理士』の更新は一時停止。マンガワン編集部は「被害者の方々を傷つけてしまう可能性を熟慮すべきだった」と謝罪し、強い責任を感じていると述べました。
ネット上では「また性加害歴のある人物を起用?」「被害者への二次加害ではないか」「小学館の倫理基準はどうなっている」との批判が殺到。業界全体で再発防止策や透明性向上が求められています。
マツキタツヤ氏の現在:更生と創作の狭間で
2026年3月現在、マツキタツヤ氏(八ツ波樹)は公の場に姿を見せておらず、コメントも出していません。『星霜の心理士』は心理カウンセラーをテーマにした作品で、事件後の反省が反映されているとの見方もありますが、起用自体が議論を呼んでいます。
マンガ業界は「更生の機会」と「被害者保護・社会的責任」のバランスに直面しています。マツキ氏の場合、執行猶予満了・専門家評価という条件をクリアした上での復帰でしたが、別名義使用の是非や編集部の判断プロセスが問われています。
今後、第三者委員会の報告書が注目されます。マンガワンは再発防止策を講じ、業界全体の信頼回復が急務です。
マツキタツヤ氏の物語は、才能と過ち、更生と責任が交錯する複雑な現実を象徴しています。読者・被害者・クリエイターの声に耳を傾けながら、業界がどう進むのか。引き続き注視が必要です。